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パパと私

不倫をしちゃったパパだけど、今は普通に暮らしています。

死にたいと思う心

 

彼女の存在が消えればいい。

彼女なんて死んでしまえばいい。

そうしたら、もう何も心配しないで生きていける。

 

彼女さえいなかったら、パパは何処にも行かない。

ずっと私のそばにいてくれる・・・。

 

私はパパに不倫されたんだから。

彼女のせいで、幸せを壊されたんだから。

私は何も悪くない。

だから、周りが私のために動けばいい。

 

そんな可笑しな被害者思考に、私の頭の中は支配されていった。

でもそれは、自分の存在に自信が持てない人間の、ただの歪んだ自己愛に過ぎない。

私の心は、そんな事もわからなくなるほどバランスを失っていた。

 

毎日彼女のいる会社にパパを見送り、待っている間お酒を飲む。

そうする事で、嫌悪する「時」から逃げてばかりいた私。

でも、彼女の存在を消す事を諦めた私は、死の切望を、自分に向けるようになっていった。

 

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ある日、キッチンにあるウィスキーの空き瓶をパパが見つけてしまった。

 

「これ、何?」

 

何も言えずに、俯く私。

 

「ママ、お酒飲んでるの?」

「うん・・・。 でも、少しだけだよ。」

「どうして? 俺、もうママが心配するような事してないよ。」

「うん・・・。」

 

パパは、私を抱きしめながら言った。

 

「俺がいない間寂しいかもしれないけど、もう本当に何もないから・・・。」

 

私は、何も言えなかった。

私もそう信じたい、でもそうしたくても出来ない。

そう言いたかったけど、言えなかった。

 

その夜、私はみんなが寝静まった頃、昼間用意しておいたカッターを手にした。

真っ暗な部屋の片隅で、私は静かにカッターの刃を出した。

そして、その薄暗く光る刃を、左手の手首に押し当てた。

 

いつまでも悲しい事実に囚われてしまう弱い自分。

思い通りにならない状況への苛立ち。

パパの事を信じたいのに信じ切れない、疑心暗鬼の心。

 

そんな情けない自分を、もう消してしまいたかった。

 

カッターを持つ手に、グッと力を込める。

その手を引こうとした瞬間、子供たちの泣き顔が頭の中に浮かんだ。

大きく、とても鮮明に。

 

私の亡骸にしがみつき、ママ、ママ、と泣き叫ぶ悲しそうな二人の顔。

たくさんたくさん涙を流しながら、私を呼び続ける二人の声。

 

心が張り裂けそうだった。

 

私が死んだら、どんなにあの子たちが悲しむだろう。

私がいなくなったら、あの子たちの毎日はどんなに辛いものになるだろう。

もし、私の存在が消えたら・・・。

 

私は目を閉じて、押し当てていたカッターの刃を引いた。

何度も、何度も。

でも、それらは致命傷になるほどの深さのものではなく、どれも浅い傷。

それでも、血が流れた。

その流れていく自分の赤い血を見て、私は何故か安心した。

 

その時の私の思いは、「死にたい」というものではなく、自分自身を傷つけたいというものだった。

あの子たちのために、今は死ぬことは出来ない。

なら、せめて、こんな弱い自分を自分で戒めてやりたい。

そう思っていた。

 

その日から、私の手首にある赤く細い線は、少しずつ増えていった。

それは、しばらくの間消える事はなかった。

 

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初めから読みたいと思ってくれた方は、こちらの初回エントリをどうぞ。

不倫が変えた私の生き方 

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